Gomorra


マッテオ・ガローネ、サルヴァトーレ・アブルッツェーゼ、シモーネ・サッケッティーノ、サルヴァトーレ・ルオッコ etc.
★4
ナポリ周辺を支配する〈もうひとつのマフィア〉カモッラの実像をいくつかのエピソードで描く(題名はゴモラとカモッラで韻を踏む)。
カンヌでの評判に加えてイタリアの友人から感想を聞いて気に留めていた。若きロベルト・サヴィアーノによる原作(一種の潜入ルポルタージュ)は国際的にベストセラー(和訳:死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国)になり、こちらでも手に入ったので見る前にパラパラと眺めてみたが、映像化すると上映できなそうなところは採り上げられていない。その意味でカモッラの闇の深さに触れたい人は原作も手に取ってみることをお薦めする。
やはりというか予想通り、原作者はイタリアではまとまもな暮らしが難しくなったとか出演者がホンモノで後で逮捕されたとか、周辺で危ない小話はいろいろ。
ヤクザやマフィア映画と根本的に違うのは子供たちと弱い者が主役であり、彼らが虫のように死んでゆくということ。カモッラが本当にいかなる組織を構成しているのかは映画を見ているものには分からないが、そこにはそれ以外の世界がないということがただ分かる。ヤクザ/マフィア映画がギャングスターが組織の中で生きる様を描いているのだとすれば、こちらはシノギの対象として最底辺で生きている者たちの姿を描く。現金と銃器と麻薬が画面に登場するのはマフィア映画と変わらないが、それを見るものの立場と視線のあり方が違う。救いようがないほど生活感に溢れている。現実なのだから当たり前だが。

ところでこの映画はサウンドトラックが格好いいのでCDを探してみたが見当たらない。