Mininova の海賊版対策

違法コンテンツ対策で最近ニュースの多いフランスより。

仏紙 Libération の関連サイト écrans に、日本でも既に報じられた BitTorrent インデックスサイト最大手 Mininova海賊版コンテンツ対策についての記事が掲載された。

記事(5月14日):

元のニュースの紹介・解説:

今回 Mininova が対策を実施することになった直接の原因になったのはオランダの海賊版対策組織 BREIN との係争だが、The Pirate Bay の場合とは違ってこちらは民事訴訟である。すでに Mininova は権利侵害の指摘があったコンテンツを削除しているが、 BREIN はこれを不十分として検索結果のフィルタリングを求めていた。係争の焦点は「インデックスサイトと関連法規との関係というよりは、サイトオーナーが検索結果を積極的にフィルタリグする必要があるか否か」(Mininova オーナー/Erik Dubbelboer)であったわけだが、結果的に Mininova はこれを受け入れたことになる。Mininova は今までこうした要求を拒絶してきたわけで、今回これがニュースになったのは5月6日にようやく方針を転換したからである。

トレント情報サイト torrentfreak によれば、Mininova は5月6日から12週間のテスト期間に入っており、コンテンツの同定とフィルタリングを行うシステムの効果を調べている。権利保持者と連携して運用されているようだが、具体的な参加者やシステムの詳細は報じられていない。また今回の Mininova の方針転換は合法性/違法性をまともに検討した結論というよりは一種の訴訟対策的な妥協点と見られている。

記事:

このフィルタリングシステムについて、écrans はファイルのハッシュ値によって海賊版ブラックリストと照合して違法コンテンツを炙り出すものだろうと推測している。だとするとトレントファイルを作成し直せば容易に回避できることになるが、海賊側はすでにもっと単純な対策を始めているようで、人気テレビシリーズの(違法)配給元大手の EZTV は、トレントファイルとして実際のコンテンツではなくリンク情報を記載したテキストを供給することでフィルタリングを回避しているとのことである。

BREIN との係争は5月20日に審理が予定されているとのこと。
手元の辞書によると「いたちごっこ」に近いフランス語は cercle vicieux (英語では vicious circle)だそうだが、こちらは「いたちごっこ」的な「無益な繰り返し」というニュアンスよりは、若干ネガティヴな語感がある。上記の EZTV のような動きは「いたちごっこ」として語られることが非常に多いが、違法性が問題である以上はハッキリ「悪循環」であると認識する必要もあるのかも知れないと思った。