「はてな」の衆愚路線、そして/あるいは梅田望夫のナイーヴさ

マイケル・ジャクソンの死に受けたそれなりの衝撃がまだ生々しく残る今はどうでもよくないことはあまり書く気にならない。以下はそういう日の日記であるので、つまりは心底どうでもいいことを書いている。


読み直してやっぱりどうでもいいので消した。未完だったが、書こうとしたのはポピュリズムと衆愚路線は違うという当たり前のことだった気がする。ユーザー層拡大路線が衆愚路線に変質しなければいいね、っていうことと、梅田望夫のナイーブさはわりと意識的な振舞だってことかな。

梅田望夫で検索して来られる方がいるので動画でも貼っておこう。

こちらはオープンソース畑の吉岡弘隆と梅田望夫の対話(前後あり)。2006年だけど、このころもバザールモデルを指して「オープンソース」と呼称している。相手が注意して「バザールモデル」と発言しているのを聞いても訂正しないのは、やっぱり意識的な言い換えなんだろうかと邪推することは可能。

ついでに二大「現場から叩かれる」感のある御仁の遭遇の瞬間。ものすごく…どうでもいい。



あ…ブックマークしてくださった方がいたのでやっぱり再掲しとく。未完。(30.6.2009)

↓以下、もとの記事。

2009年2月から開始された「はてなブックマークニュース」は当初から「IT の話題からお役立ちレシピなど生活情報まで」*1と謳っていたとおり、日々 IT の話題や生活情報を垂れ流している。このコンテンツの意図について、編集長は最近のインタビュー記事で以下のように述べた。

そもそも、『はてなブックマーク』をもっとたくさんの方に使っていただくために、今までの壁を越えなくてはいけないという問題意識が始まりです。はてなブックマークは […] ネットのコアなユーザーにはある程度認知されてきているのですが、ネットをあまり使わない人たちにとってはまだまだ知られていません。たとえば Yahoo!livedoor のトップページに載るにはどうすればいいのかを考えたんです。[…] どちらかというとマーケティング寄りの発想からスタートしたんですよね。(山田聖裕編集長)

【トレビアン】はてなのニュースサイト『はてなブックマークニュース』とは? 京都本社を取材! - ライブドアニュース

つまりこのコンテンツの目的はユーザー層拡大のために「ネットをあまり使わない人」に訴求することである。「ネットをあまり使わない人」が「はてなブックマーク」を利用するか否かは非常に興味深いが、Yahoo! のトップに載りたいという発言から推測するに、登録利用者数ではなく単純なアクセス数の話をしているのかも知れない。そして「ネットをあまり使わない人」の向けのコンテンツとして選択されている記事の内容は一貫して当り障りのない話題の紹介となっている。

以降は個人の趣味の話なのでさらに取るに足らない話。

どうでもいい記事にも面白いものとつまらないものがあり、評価すべきものと唾棄すべきものがある。けれども「はてなブックマークニュース」はあまりにどうでもいいので判断する気にもならない。単に筆者は読者の範疇に含まれていないということだろうが、それにしても目にはいるタイトルからしてなんだか意気消沈するものが多い。先のインタビューで編集長は以下のように述べている。

ユーザー層を広げたいといってもこれまでのユーザーさんのことを忘れちゃいけないですし。現状を元に少しずつ、でも大胆に広げていくという感じですかね。(山田編集長)

コンテンツの掴み所のなさが、「はてブの話題の紹介」という条件によってライターの芸が圧迫され、「マーケティング」という使命によってエディターの柔軟さが制限されている結果だとすれば憐むべきかも知れないが、上に語られているような意味からすれば楽観的にいって少なくとも半分は成功していると見るべきだろう。そして編集長も自覚しているとおり、このコンテンツの成否はターゲットに向けた「話題」をいかに選ぶかにかかってくる。

さて、どうでもいいといえば思い出すのは梅田望夫である。すでに「はてな」の取締役に就任して数年を経過した2008年正月、梅田は大好きな棋士との対話において以下のように発言している。司会の、「ネットの利用では不特定多数を信用することが大切だと仰ったが、これは日本人は不得手ではないか」との問いに対し、梅田はそれには技術があるという。

それは技術なんですよ。何事も練習しないと。[…]

僕は、ネット上でどう振る舞うと不特定多数とうまくやっていけるのかということを体で分かるようになってきました。ずいぶん時間的な投資をしてきましたからね。だから全然怖くないんです。やってはいけないことが分かっているから。[…]

本を読んでそれに対する感想をブログに書いたり、日常生活でこんな楽しいことがあったと書いたりとかしたときに、そんなところに変なことを言ってくる人はいない。

しかし、イデオロギーとか政治にかかわることとか、あるいはアイドルをけなすとかはだめ。[…]

それから書き手の立場にもよります。個人はたたかれにくい。一方で、組織はいろいろなことがある。[…]

純粋な個人というのはそんなに責められる要因がないから、自分の考えを言うのは大丈夫な場合が多い。

http://sankei.jp.msn.com/economy/it/080101/its0801010826003-n1.htm

要は「純粋な個人」として発言し、論争的な話題を避けることがネットを円滑に活用するための技術であるというわけだ。例の「自社サービスのユーザーコメントはバカばかり」発言はこれを踏まえて発せられたわけで、ある意味首尾一貫した芸風であり、これはどうでもよいながらも面白い発言である(そしてこうした認識で「性善説」を標榜するというのがまた興味深い)。

そして、実のところこうした梅田的な姿勢が「はてな」の名を冠した「はてなブックマークニュース」にも通底しているということが、このコンテンツについて唯一指摘するべきことであり、梅田のオープンソース認識の問題も結局同根であるということを書こうかなと思っていたのだが、なんだか疲れたので続く(かも知れない)。